マルチステーションの謎と真実(改訂版)

ここでは、マルチステーションに関する法則や謎(伝説)についてせまってみたいと
思います(笑)。

改定前のページはこちら

モデル名の法則(改訂版)
ディスケット・ドライブのランプ
マルチステーションのCPU(改訂版)
JXとの関係
プラグ&プレイ?
マルチステーションと松下電器
画面表示とビデオRAM
BASICインタープリター
マルチステーションとOEM
ディスケットとディスクドライブ(改訂版)


モデル名の法則(改訂版)
 
 初期型(A、B、C)に関する資料(雑誌)を入手しました。
 その内容と IBM が発表している情報から新たな事実(笑)が判明したので
 修正したいと思います。(2014.11.02)

 ご承知のとおり、モデル名には順番にアルファベットがつけられています。
 ですが、途中の機種からアルファベットが飛んでいることがわかります。
 何故、飛んでいるのか?
 その理由を探ってみたいと思います。

 まず、アルファベットを3つずつに区切りますと以下のようになります(3つで区切る
 理由は後を見ていただくとわかると思います)。
 ABC、DEF、GHI、JKL、MNO、PQR、STU、VWX、YZ

 これをもとにモデル名とCPUの速度を当てはめると・・・。

初回リリース
i8086 8MHz

16ドット・モノ

24ドット・モノ

16ドット・カラー


???


モデルチェンジ1回目
i8086 8MHz

16ドット・モノ

16ドット・カラー

???
i8086 8MHz
i80286 8MHz

24ドット・モノ

24ドット・カラー
(I)
モデルチェンジ2回目
i80286 8MHz

24ドット・モノ

24ドット・カラー
(L)
モデルチェンジ3回目
i80286 10MHz

24ドット・モノ

24ドット・カラー
(N)、(O)

 とこうなりまして、大体の法則性が見えてくるわけです。
 
 特にG、H、J、K、Mの順序につきましてはそのまま当てはまっていると思います。

 G、H以降関しては24ドットのカラーモデルが追加になり代わりに16ドットのモデルが
 なくなったので規則を基本的に変更したのだと思われます。
 謎のアルファベットがありますが IBM の情報にモデル名が出ているだけなので
 詳細が不明です。

 しかし、飛んでいるアルファベットに法則性がない時もある理由がわかりませんが。

 さらに手持ちの資料にマルチステーションは A、B、C、D、E、F、G、H、J、K、
 M、P、X、Y、Z の各モデルとしている(X、Yはコプロセッサー付、Zは詳細不明)
 資料が存在するとの情報があるのですが IBM の情報とも食い違いがあるので
 結局謎が更に謎を呼ぶ・・・。
 しかし、これ以上はもうわからないでしょう(おいおい)。


 更にこれを各シリーズに当てはめると・・・。
A 5550
B 5550、5540
C 5550
D 5550
E 5550、5540
F 5550
G 5550、5540、5530
  5560
H 5550、5530
  5560

J 5550、5540、5560
K 5550、5540、5560

M 5550、5540、5560、5535
P 5550、5540、5560
Y 5550

 登場時期、あるいはCPUの速度で一応は分類されていることが分かります。
 5550 一部を除き順番と画面の表示
 5540 Bだけが例外(内部的には5550のBと同じなのかもしれない)
      後は登場の時期
 5560 登場の時期
 5530 CPUが当てはまるところ
 5535 CPUが当てはまるところ

 しかしアルファベットを飛ばしたおかげで、IBMも苦労したのでしょう。
 数が足りなくなったらしくて、後のMCA機では飛ばしてあった L と N が使用され
 ています。
 
 以上、何か腰砕けのような気もしますが(汗)、モデル名のアルファベットについて
 はこの位で。

ページトップへ


ディスケット・ドライブのランプ
 5550のAからHモデル、5540のBからGモデルまでは2DD専用のディスケット・
 ドライブを搭載しています。
 Jモデルから後は2HC・2DD兼用のドライブに変わりました。
 ここでよく言われる「ドライブの種類でランプの色が変わる」のか検証してみたいと
 思います。

5550,5540の画像

 初期型の5550、5540

5550の画像
 5550のM/Pモデル

 画像では少しわかりにくいかもしれませんが、初期型の方は明らかに赤く、M/P
 モデルに関しては緑に見えます(少なくとも赤とは違う)。
 当初から2HCドライブの5560は、資料を見る限りランプは緑になっていますので、
 この話に関しては信憑性は高そうです。

ページトップへ


マルチステーションのCPU(改訂版)
 マルチステーションで使用されたCPUは i8086 と i80286 の2種類です。
 速度は 8MHz と 10MHz の2種類でした。
 付属品のページで、コ・プロセッサーの個所を参照していただいたらわかると思い
 ますが、共用プロセッサーの番号で II が飛んでいます。
 手持ちの資料を探しても掲載されていなかったからですが、それならこの番号の
 コ・プロセッサーはどういったものなのかという話になるわけです。

 IBM の情報の中に共用プロセッサーII がありました。
 ただし品番と名称しかないので結局詳細は不明ですが・・・。(2014.11.02)

 もし存在するのでしたら、i8087 の 10MHz か i80287 の 6MHz 程度となり、すなわ
 ちCPUが i8086 の 10MHz か i80286 の 6MHz 程度のモデルが存在するというこ
 とになるわけですが。
 i8086 の 10MHz のモデルが存在したという話がたまにあったりするわけですが、
 手持ちの資料にはそのようなモデルは一切掲載されていません。
 どなたか知っていらっしゃる方がおられるとよいのですが(汗)。

ページトップへ


JXとの関係
 マルチステーションは、企業向けの高機能ワークステーションという位置付けで販
 売されていました。
 次に IBM が家庭向けのパソコンとして販売したのが JX でした。
 結果として商業的には完全な失敗に終わりましたが、いろいろと面白い機能をもっ
 たパソコンでした。

 JXが持っていた表示モードのうちの「拡張表示モード」は 720 x 512 ドット表示で、
 マルチステーションの16ドットモデルと同じ解像度でした。
 ここで出てくるのがソフトでの互換性があったかどうか、という話です。

 手持ちの資料に JX が登場したときの本があるはずなのですが、現在どこにある
 かがわからないので調べられません。
 ただ、記憶では増設用の5.25FDDの説明は「マルチステーションとのデータ交
 換用」とありましたし、拡張表示モードは「マルチステーションと同じ解像度」とあっ
 たと思います。
 ソフトの番号や価格も載っていたはずですので、探し出して確かめてみたいと思
 います。

ページトップへ


プラグ&プレイ?
 手持ちの資料の中にオプションのアダプターとして、5250アダプターのマニュアル
 があります。
 それによりますと、5250アダプターを取付る手順は・・・
  ・スロットにアダプターを差し込む
  ・テストスイッチを切換え、テストを行って、表示される数字を確認する
  ・端末のアドレスの指定を行い、ケーブルを接続する
 わずかにこれだけです。

 他のIBM系のパソコンのようにディスケットを入れて設定を行ったり、ソフトの中で
 割り込みの設定を行う、というようなことがありません。

 一瞬プラグ&プレイなのかと思ってしまいますが、実際のところは日本のメーカーの
 パソコンのように、アダプターや周辺装置の種類で割り込みレベル等を決めておい
 て、重ならないように調整をしていただけではないかと思います。

 システム・ユニットのマニュアルにはその辺りの記述がないのが残念なところです。

ページトップへ


マルチステーションと松下電器
 マルチステーションの発売当時は、日本IBMにはパソコンを製造できる工場があり
 ませんでしたので、製造を松下電器に委託しました。
 このことは有名な話なのですが、WEB上でマルチステーションと松下のJB−5000
 に互換性があるという記述がありました。
 手元にはJB−3000の資料があるのですがこの機種は全くの別物らしく、JB−50
 00の詳細な情報はWEB上でも見つかりませんでした。
 どなたか情報を持っておられる方がいらっしゃるとよいのですが。

ページトップへ


画面表示とビデオRAM
 マルチステーションの画面表示は、解像度が2種類と表示色がカラー、モノクロで計
 4種類、それと初期のCモデルの計5種類ありました。
 ここでは、マルチステーションの画面表示とビデオRAMの容量の関係を考えてみた
 いと思います。

 1984年8月のカタログと、5541−M/Pのマニュアルを参照しますとビデオRAM
 の容量が掲載されています。

 1984年8月のカタログ
  16ドット 144KB
  24ドット 256KB

 5541−M/Pのマニュアル
  モノクロ 256KB カラー 768KB

 それぞれの解像度で実際にグラフィックを表示するために必要な、ビデオRAMの容
 量を計算してみますと・・・。

モデル 水平(ドット)
垂直(ドット)
色数(ビット) 容量(KB)
16ドットモノクローム 720
512
2色(1)
45
16ドットカラー
(初期Cモデル)
360
512
16色中4色(2)
45
16ドットカラー 720
512
64色中16色(4)
180
24ドットモノクローム 1024
768
2色(1)
96
24ドットカラー 1024
768
64色中16色(4)
384
 (水平ドット × 垂直ドット × 色数ビット / 8192 = 最低必要なビデオRAM)
 (8192 という数字は 1 キロ = 1024、1 バイト = 8 ビット から出てきます)

 となりますが、計算値と比較しますと実装されているビデオRAMの容量のほうがはる
 かに多いわけです。

 モノクロームの場合は確実に複数画面が取れるということになります。
 カラーの場合は「色中」という表現がつきますので、複数画面取れたのか1画面だけ
 だったのかはわかりません。
 しかしBASICのマニュアルを参照する限りでは、複数画面を使用できるようにはなっ
 ていないように思えます。
 詳しい技術資料がほしいところです。

ページトップへ


BASICインタープリター
 
大変お待たせいたしました(誰も待っていないって)。
 久しぶりの新たなお題(笑)はBASICについてです。

 皆様はBASICと聞くと、どのようなものを思い浮かべられるでしょうか。
 BASICといいましても今のVisualBasicなんかは全く別の物といっても過言では
 ないと思いますが、昔にパソコンを触ったことのある人ならほぼ例外なく行番号付き
 のBASICでプログラムを組んだことがあるのではないかと思います。
 マルチステーションは今となってはかなり古い部類ですので、当然行番号付きの
 古い形のものとなります。

 ある日のこと、NECのPC−98LT(9801ではありません)上のN88BASICで組んだ
 プログラムをマルチステーション上で動かしてみようと思い立ちました。

 ラベルが使用できないのはわかっているので、行番号のジャンプに置き換えて、
 機種依存の命令は使っていないからこれで動くはずだ・・・。
 いきなりエラー発生、SCREEN命令で止まりました。
 考えてみればこれは機種依存命令でした(アホ)。
 マニュアルを調べて再開しました。
 今度は動き出しましたが、なんか画面表示がおかしいな・・・?
 もう一度マニュアルを確認すると、LOCATE命令の行列が逆なのでした(ドアホ)。
 
 いきなりですが、ここで日本における行番号付きBASICのスタンダード、N88BASIC
 と比較してみたいと思います。
 ちなみにマルチステーションのBASICは事実上マイクロソフトのBASICです。
 

マルチステーション
N88BASIC
使用可能メモリ
最高64KB
最高640KB
ラベル
使用不可
使用可能
コンパイラ
あり
あり
画面解像度
720x512、1024x768
640x400、1120x750
色数
64色中16色
4096色中16色
音楽
単音
和音(音源ボード付)

 とりあえず基本的な仕様での比較です。
 ここまでではなんと言っても使用できるメモリ量が違いすぎます。
 最大が64KBでは業務用プログラムを作るとなると、すぐに分割が必要となります。
 特にN88BASICでは数100KB単位で配列を作成できます。

 ラベルが使えないのも結構苦労するところです。
 行番号が足りなくなって付け直し、なんてことになると余計にややこしくなりますので。

 画面表示に関しては、まあいい勝負といえるのではないでしょうか。
 NECのビジネス用パソコン、N5200では解像度は640x480、1120x750となりますから
 マルチステーションと事実上変わりません。

 しかし、ファイル関係となりますと面白いことになってきます。


マルチステーション N88BASIC
オープンできるファイル数
バッファを自動確保
起動時に指定
ランダムファイルのレコード長
ファイル毎に指定可能
固定長
レコード数
約21億行 32,768行
ISAM コンパイラに付属 なし
(N5200なら有り)

 マニュアルを読んでみてよくできていると思うのはこの部分です。
 N88BASICでランダムファイルを扱おうとすると、ファイルの設計に悩まされますが、
 マルチステーションではファイルごとに長さを指定できますので、レコード長を気にする
 必要がありません。
 レコード数が21億というのは事実上無限に使用できると思います。

 しかし、冷静になって考えてみますとおかしなことに気がつきます。
 21億レコードのファイルを作成しようとすると1レコー ド1バイトとしても21億
 イトすなわち2GBの容量が必要になります。
 しかし、マルチステーションの世代のDOSでは1区画最 大32MBま でです。
 ちなみにPC-DOSのVer.4以降でも1区画最大2GBですから、これはとんでもないこと
 なのですよね。
 ということは、仕様上最大21億レコードなだけな のかもしれませ ん。

 このBASICで誰か本当に21億レコードのファイルを作成したことがあるのでしょうか。
 それともテストは行われていないのでしょうか・・・(汗)。

ページトップへ


マルチステーションとOEM
 
上の「マルチステーションと松下電器」でも一部述べましたが、マルチステーションは
 OEM製品が集合してできたような製品でした。
 今でもハードウェアのOEMはごく普通に行われていますが、ソフトウェアとなると少し
 話が違ってきます。
 今でこそOSを始めとしてマイクロソフトの名前はごく普通に使われていますが、
 マルチステーションの時代は決してそうでもありませんでした。
 代表的な例を下に記してみたいと思います。

ハード・ソフト
OEMメーカー
マルチステーション本体
松下電器
キーボード
アルプス電気
プリンター
沖電気
Multi シリーズ
マイクロソフト
漢字データボックス、メガボックス
リードレックス
財務会計システム ピーシーエー
COBOL/2
マイクロフォーカス

 他にも言語等で、大量にあるはずです。
 「OEM」である以上は当たり前ではありますが、該当する製品全てに「IBM」のロゴが
 つけられていました。
 すなわちこれらに関しては、IBMがサポートを行っていたわけでもあるのです。

 今となってはIBMもかなり製品の種類が限られていると思えますが、
 パソコンに参入するためとはいえ、この当時はパソコンメーカーとしても評価を上げる
 ために何でも自社でやっていたのだなと感じられます。
 
ページトップへ


ディスケットとディスクドライブ(改訂版)
 
今でこそ、ハードディスクの値段は容量を考えると半分ただみたいなものですが、
 マルチステーションの時代は高嶺の花どころの話ではありませんでした。
 オプションのページを見てもらったらわかりますが、今から思うと信じられない値段が
 ついていました。
 ディスケット(フロッピー)のドライブでさえ高級品でしたから、やむをえない話では
 あるのですが(8インチのドライブはハードディスク並みの値段がしました)。
 そのためディスケットドライブすらないか、オプションのパソコンは山とありました。

 とはいいましても、仕事として使う以上は最低ディスケットは必要になるわけでして、
 マルチステーションでは当然ながら標準装備でした。
 ただしディスケット1枚あたりの容量が少なかったために、当時でも(現在でも)
 珍しい3ドライブ構成が生まれたのではないかと思います。

 マルチステーションを使用するには以下のような組み合わせが必要になります。

 ディスケット1台・・・OS、プログラム、データ用を1台のドライブで入れ替える。
             日本語フォントを表示させるのにカードが必須となる。
             文節変換を行うときはカードが必要となる。

             5550登場時の広告は1ドライブの構成で堂々と価格を
             宣伝しています。
             この時点ではカードはありませんので、ディスケットの入れ替えが
             面倒でなければソフトによっては1ドライブでも使用できると
             いうことなのでしょう。(2014.11.02)

 ディスケット2台・・・OS、プログラムを1台のドライブで入れ替える。
             データ用をもう1台のドライブに入れる。
             文節変換を行いたいが、途中でディスケットを入れ替えるのが
             面倒ならカードが必要となる。

 ディスケット3台・・・OS、プログラム、データをそれぞれのドライブに入れる。
             表示や変換の速度を気にしないならオプションのハードは
             必要ない。

 ディスク1台・・・  全てをディスクに入れて使用できる。
             ただしディスクに対応していないソフトもある。

 仕事で使う機械ですし、記憶容量、作業効率と値段を考えると結局初期モデルでは
 ディスケットドライブ2台か3台ということになったと思います。
 まあ後期モデルでも5530で2DDドライブ2台のモデルもあったりしますが、こちらは
 明らかに値段を下げるためのものであったのだろうと思います。

Content created and/or collected by:
Louis Ohland, Peter Wendt, William Walsh, David Beem, Tatsuo Sunagawa, Jim Shorney, Tim Clarke, Kevin Bowling, Tomáš Slavotínek, and many others.

Ardent Tool of Capitalism - MAD Edition! is maintained by Tomáš Slavotínek.
Last update: 23 Oct 2021 - Changes & Credits | Legal Info & Contact