キーボード

 IBM はタイプライターを販売していたこともありまして、キーボードに関して昔から
 定評のある会社でもあります。
 IBM 初の日本語パソコンとしてのマルチステーションにも、ユニークなキーボード
 のシリーズが販売されました。
 ここではその内容を見ていきたいと思います。

 概略
 種類
 各キーボードの説明


 概略
  マルチステーション用のキーボードには 5556 の型番がつけられ、特殊用途の
  配列、ラップトップの 5535 を含めますと 11 種類ものキーボードが存在しました。

  その外見は IBM PC や専用端末のキーボードに似ていて、標準の配列でも
  124 もあるキーと巨大なサイズが特徴的です。
  キーのメカニズムは独特のノンクリック・メカニカルスイッチを使用し、一部を除
  いては回転式の脚がついているなど、高かった価格にふさわしい出来栄えに
  なっています。

  PS/55 として MCA の機種が登場した時、5556001 の配列が 5576-001 に受
  け継がれました。
  5576 は新しいシリーズとして発展し、DOS/V 機の標準配列となったキーボード
  も含まれています。
  5556 のメカニズムや 5576 に関しましては、以下のリンクよりたどっていただき
  ますと詳しい内容がご理解いただけると思います。

     a little bit of keyboards
   http://sandy55.fc2web.com/keyboard/keyboard.html

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 種類
  オプションのページでも掲載していますが、ここでも今一度。

品 番 品 名 価格 特 徴
5556001
I 型(ひらがなキー配列)
43,000
124キー
5556002
II 型(ひらがなキー配列)
43,000
124キー
5556003
III 型(カタカナ・キー配列)
43,000
125キー
5556004
IV 型(カタカナ・キー配列)
43,000
125キー
日本語5250PC用
5556005
漢字鍵盤(V 型)
238,400
254キー
5250漢字エミュレーション用
5556A01
A1
60,000
124キー?
APL用
5556M01
M1型(ひらがなキー配列)
63,000
124キー
5556P01
P1型(ひらがなキー配列)
30,000
124キー
5556R01?
あいうえお鍵盤(R1型)
不明
詳細不明
5556W01
W1
43,000
124キー
WP用

  漢字鍵盤を除いては 124 又は 125 キーの配列になっています。
  通常のキーボードにファンクションキーが 12、左側に拡張キーが 10 追加されて
  います。

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 各キーボードの説明
  I 型鍵盤
   5556001のイメージ

   シリーズ中で一番基本となるキーボードです。
   これといった特徴はありません、といいたくなるところですがあくまでも 5556 の
   シリーズ中ではという話で、他の機種から見ますと特徴だらけのキーボードで
   もあります。
   5576-001 はこの配列をほぼそのまま採用しています。
   5535-M はこの配列からテンキーを除いた分の変形です。

   ・かな文字がひらがなで印刷されています。
   ・通常のファンクションキーには「文書プログラム」での機能が印刷されています。
   ・そしてその下のキーボード側に「PFx」と印刷されています。
   ・高さ調節は、横の丸い部分を押し込んで回すことで動かします。
   ・スピーカーを内蔵し、キーボードケーブルは一体化されています。

  II 型鍵盤
   このキーボードに関しましては、資料に掲載されている以上の詳細はわかりま
   せん。
   マニュアル類を参照しても「I / II 型」とまとめられていますし、図がありましても
    I 型の図になりますので、どこが違うのかわかりません。

  III 型鍵盤
   おそらく 3270 への接続用を主体としたキーボードです。
   「DOS文書プログラム」のマニュアルに掲載されているキーボードの図を参照
   する限りでは、ファンクション、拡張キーは I 型とほぼ同一で、キーの部分が
   IV 型と同一のようです

   ・かな文字がカタカナで印刷されています。
   ・ファンクションキーに「PFx」と印刷されています。
   ・高さ調節は、横の丸い部分を押し込んで回すことで動かします。
   ・スピーカーを内蔵し、キーボードケーブルは一体化されています。

  IV 型鍵盤
   5250 への接続用を主体としたキーボードです。
   ファンクションキーの刻印は I 型等とはまったく違っています。
   キーの部分の特徴としては、いわゆる「シフトキー」がありません。
   英数のシフト、カタカナのシフト、ひらがなのシフトがそれぞれ専用のキーになっ
   ています。
   他には I 型等では「PFx」となっているのが「CMDx」となっていたり、「改行」となっ
   ているキーが「Field Exit」になっていたりして、かなりの相違点が見られます。
   管理人はこのキーボードを所有しています。

  A1 型鍵盤
   プログラミング言語である APL の使用を主体としたキーボードです。
   通常のキーの部分に APL 文字が刻印されていて、ホスト APL か、DOS 用の
   日本語 APL で使用するようになっています。
   おそらくその他の部分は I 型と同一だと思います。
   それ以前に APL 文字が刻印されていた機種としては 5100 〜 5120 がありま
   したが、専用端末で APL 文字が刻印されていた機種があるかは管理人の知
   識不足のためわかりません。

  M1 型鍵盤
   マウス・アダプターの機能を内蔵したキーボードです。
   詳細はわかりませんが、おそらくその他の部分は I 型と同一だと思います。

  P1 型鍵盤
   5530 と同時に登場した廉価版のキーボードです。
   I 型との違いは高さ調節の機構が簡略化されている点と、マウス・アダプターの
   機能が内蔵されている点だと思います。
   もしかするとキーのメカニズムも違うのかもしれませんが、現物を見たことがあ
   りませんので詳しいことは不明です。

  W1 型鍵盤
   ワードプロセッサーである「文書プログラム」、「DOS文書プログラム」での使用
   を主体としたキーボードです。
   ファンクションキー、拡張キーのほとんどに「文書プログラム」、「DOS文書プロ
   グラム」の機能が割り当てられています。
   ややこしいことに、その機能の配列は I 型等と変更してあります。
   その他のキーの部分は I 型と同一のようです。

  あいうえお鍵盤(R1 型)
   このキーボードに関しましては、まったく情報がありません。
   現在わかっている限りでは、マニュアルやカタログの一部にはこの名前が出て
   きますが、品番や価格が掲載されている資料がありません。
   名前を見る限りでは、かなの配列が五十音順になっているのではないかという
   気もしますが詳細は不明です。

  漢字鍵盤 (V 型)
   5250 漢字エミュレーション専用に作られた、R1 型と並んで謎の多いキーボード
   です。
   何せキーボードのみで、23 万円以上もしたのですから。
   管理人が実物を一番見て見たいと思うキーボードでもあります。

   254 ものキーを持ち、本体との接続に別売の専用アダプターが必要となります。
   おそらくは日本語タイプライターのようにキーに漢字が刻印されていて、漢字を
   直接入力するようになっているのだと思います。

   操作方法をたまたま英文のサイトより見つけました。
   それによると、1つのキーに対して12個の漢字が登録してあり、そのキーと同
   時に別にある1から12の番号を押すことにより、入力したい漢字を選択するよ
   うになっていたようです。(2004.04.03)

   キーに登録されていない字を使用するときは、4桁の漢字番号を入力するよう
   になっていたようです。
   IBMの漢字コード辞典に「IBM漢字番号」というコードが掲載されていますが、
   どうもこのコードのようです。

   検索をしていましたら、IBMのサイトにもこの鍵盤というかこのとき開発された
   日本語システムとしての説明がありました。
   一部のキーの拡大写真が掲載されています。(2005.08.13)

   ちなみに 5250 漢字エミュレーションを使用するための最低限のシステムといい
   ますと・・・。

本体
5541-B01
380,000
キーボード
5556005
238,400
漢字鍵盤アダプター
4773169
150,000
ワークステーション・アダプター(5250漢字エミュレーション用)
6112789
110,000
漢字フォント・カード(5250漢字エミュレーション用)
6112790
130,000
5559拡張装置
5559001
160,000
ディスプレイ
5555-B01
80,000
5250漢字エミュレーション

60,000
合計金額
1,308,400

  となるわけで、かなりの金額が必要だったことがわかります。
  これでも専用端末を購入するよりははるかに安かったのかもしれませんが、 5250
  PC が登場してしまった後はそのほうが明らかに安くなるわけでして・・・。
  実際どれ位販売されたのか、非常に興味があるところです。


  I型 (A1、M1、P1、WP型) の配列
5556001型のイメージ


  II型 の配列
5556002型のイメージ


  III型、IV型 の配列
5556004型のイメージ

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