ソフトウェアの特徴

ここでは、マルチステーションのソフトウェアにおける特徴について説明します。

 漢字の表示
 メモリー・バンク
 ハード・ディスクの使用
 DOSとDOSを使用しないソフト


 ・漢字の表示
  基本的な設計としましては、漢字の表示に特殊なハードウェアを使わずに、
  ソフト上のフォントを読み出してグラフィックVRAM上に表示する、という現
  在のDOS/Vと同じ仕組みになっていました。

  注意
   ただし、ドライブがディスケット1ドライブのみのときは別売の漢字フォントカード
   の装着をしたほうが効率的でした(ソフトによっては必須だったようです)。

  この設計により、OSもしくはOSの機能を持ったソフトには必ずフォントのファイル
  が入っていました。

  DOS、文書プログラム、3270漢字エミュレーションには24ドット用、16ドット用
  にそれぞれ別のソフトが用意されました。
  5250漢字エミュレーションは24ドット・モノクロームの機種専用でした。
  このソフトを使用するときは専用のフォントカードを増設する必要がありました。

  DOSに標準で入っている漢字はJIS第1水準のみでしたので、第2水準、
  IBM拡張漢字を使用するときは別売のフォントを購入する必要がありました。

  後にモデルチェンジするごとに順次各シリーズに漢字ROMが標準搭載される
  ようになり、ソフトより漢字フォントを読み出すことはなくなりました。

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 ・メモリー・バンク
  DOSの使用時には独自仕様のメモリー・バンクを使用することができました。
  初期型では多重記憶アダプターを使用して、後期型では増設メモリーの一部を
  メモリー・バンクに割り当てることができました。

  メモリー・バンクは0から3までがあり、1バンクの大きさは 384KB でした。
  ソフトによって使用するバンクの番号が決まっていました。
  バンク0はメインメモリーの 256KB より上位の部分に相当します。

バンク0
バンク1
バンク2
バンク3
PCアプリケーション
仮想ディスク
オンライン・プログラム
MICRO CADAM 図形情報
仮想ディスク
オンライン・プログラム
NETBIOS
仮想ディスク
文節変換ルーチン
仮想ディスク

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 ・ハード・ディスクの使用
  マルチステーションでハード・ディスクを使用するときは、付属する専用の「ハード・
  ディスク初期設定プログラム」が必要でした。
  このプログラムを使用して、ディスクをフォーマット、区画を作成してソフトを導入
  しました。
 
  ソフトのバージョンによって、サポートできるハード・ディスクの容量が決まってい
  ました。

主要なソフトの対応

8.1MB
10MBと20MB
40MB
70MB
日本語DOS
K2.1 以降
K2.4 以降
K2.7 以降
K3.3 以降
文書プログラム
K2.0 以降
K4.0 以降
K5.2 以降
K5.3 以降
3270漢字エミュレーション
K3.0 以降
使用不可
使用不可
使用不可

  ソフト(OS)を導入するための区画には決められた名前を付けないと、導入がで
  きま
せんでした
  導入後は名前を変更することができました。

  区画名の例
   日本語DOS          JPC
   文書プログラム                  JWP
   3270漢字エミュレーション   3270 EM (3270 と EM の間にスペースが必須)
   OS/2             OS/2
        論理区画       OS/2 * (後ろは何でもよい、間にスペースが必須
                           例."OS/2 DATA")

  自動始動をする区画を設定しない限りは、起動時にどの区画から起動するか
  を選択しました。
  現在のIBM系のコンピュータと違い、同一のディスクに複数の同じソフト(OS)を
  入れ
ることもできました
  このあたりは IBM PC というよりも、NECのPC−98x1シリーズに近いものが
  あります。

  なお、最大8区画までとることができました。


  日本語DOSの区画の容量

ファイル
容量(バイト)
DOS, BIOS, COMMAND.COM (必須)
150K
外部コマンド
350K
フォント
フォント 16
基本フォント
110K
拡張フォント
190K
フォント 24
基本フォント
180K
拡張フォント
360K
辞書
単漢字
基本フォント  40K
拡張フォント
 70K
熟語辞書
基本フォント
300K
拡張フォント
340K
日本語3270パーソナル・ コンピューター
570K

  DOSで扱える区画の最大容量はバージョンK2.6以上で最大32MBでした。


  日本語ワード・プロセッサーの区画の容量

  プログラムのバージョンが5未満の場合の区画に必要な最小値
   区画をこの表より大きく取ると、文書用に使える容量が増えます。
区画容量
(バイト)
使用する
文書用に
使える容量
文書プログラム
フォント
辞書
拡張機能
2295K
384KB 版
-
-
-
-
2295K
512KB 版
基本
基本
-
約 400KB
2652K
512KB 版
拡張
拡張
-
約 400KB
2907K
512KB 版
拡張
拡張
文書配布
ファイル変換機能
約 400KB
2295K
512KB 版
漢字フォント・
カードと拡張辞書

約 400KB

  プログラムのバージョンが5以上の場合
   以下の表より使用するものを選択し、文書用の容量を加えて区画全体の容量
   を決定します。
使用するプログラム 等
必要な容量
文書プログラム(その1、その2)
辞書/フォント・ディスケット
拡張辞書ディスケット
拡張フォント・ディスケット
ファイル変換ユーティリティー
文書配布プログラム
 $RDBBD/$SDBBD
 $BCBBA
 $DCBBA
 $CCBBA
1440KB
  720KB
  720KB
  720KB
  500KB
  500KB


  3270漢字エミュレーションの区画の容量
   最小限は 1932KB で、この中に熟語辞書も入ります。


  OS/2 バージョン1.0の区画の容量
   最小限は約 7MB です。

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 ・DOSとDOSを使用しないソフト
   マルチステーションとは「1台3役」、すなわち
   日本語ビジネス・パーソナル・コンピューター
   日本語ワード・プロセッサー
   日本語オンライン端末
   の機能を1台で切り替えて使用できる、という意味がありました。

   登場時には、この3つの機能は別のシステムとして稼動し、現在のようにOS上に
   全てのソフトがあるという状態ではありませんでした。
   ハード・ディスクを使用する場合は、それぞれの区画を必要としました

   DOSを使用しないソフトの例
    文書プログラム
    3270漢字エミュレーション
    5250漢字エミュレーション

   このためDOS上のソフトとデータを共用するには、データ変換を行う必要があり
   ました。
   このようなソフトの一つに「ファイル変換ユーティリティー(PC-WP)」がありました。

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